子供から『抱っこ』をせがまれる。
仕事で疲れてるんだよ。
もう何回も抱っこしてるよ。
こっちも眠たいんだよ。
少しは自分で歩こうよ。
もう腕が痛くて抱けないよ。
息子がまだ話も出来ない頃は
『んー、んー』と言いながら、
両手をいっぱいに広げて、
抱っこを要求してきた。
少し喋れるようになると、
『ガッコガッコ』と言いながら、
これまた、両手をめいっぱい広げてきた。
今は
『パパ抱っこして!』
『抱っこ』にも色々あるもんだなぁ。
でも、いつまで言ってくれる?
『パパ抱っこ』って
いつまで言ってくれる?
つかまり立ちしていた、おもちゃの椅子も、
背伸びをしてやっと届いたスイッチも、
今はもう遠い遠い、過去の大切な想い出。
そのうち、君は独り立ちして
『パパ抱っこ』とは言わなくなってしまうんだろう。
いつが最後の『パパ抱っこ』になるんだろう。
だから、どんな時も、
どんなに疲れていても、
どんなに眠くても、
どんなに腕が痛くても、
君が『抱っこ』と言ってくれた時は、
心から喜んで、抱っこしてあげよう。
その日が来るのを楽しみにしながら、
でも少し、感傷に浸りながら、
君との『抱っこ』の時間を、大切に過ごすよ。